こんにちは。管理人・yaです。
このブログでは工場の生産性アップを進めたい皆様へ向けてヒントになる情報を発信いたします。
この記事をご覧いただいている皆様は生産性向上にご興味がある方々だと思います。そんな皆様に質問です。



一般的にIEといえばMicrosoftのブラウザ・インターネットエクスプローラを思い出します。
生産管理の世界ではIEといえばインダストリアル・エンジニアリングです。
Industrial Engineering の略で、日本語にすると 『生産工学』『生産技術』などと訳されます。
ものの本によると『経営工学』なんて訳しているものもあります。
このIEに基づいた作業効率改善のやり方をIE手法と読んでいます。
どういったやり方なのか?気になる方は最後までお付き合いください(^ ^)
Contents
インダストリアル・エンジニエアリング【IE手法】とは?
労働を科学する
科学とは再現性です。
物理学・化学・生物学の実験ではいつ・どこで・誰がやっても同じ実験条件であれば同じリアクションが帰ってくることが原則になります。
この再現性を労働に取り入れようとしたのがIE(インダストリアル・エンジニアリング)です。
いつ、どこで、誰がやっても同じ仕事ができるようにするにはどうすればいいか?
それを考えるのがIEの始まりでした。
IEの始まりストーリーに関しては面白い話があるのでまたの機会にご紹介しますね。
作業の要素を可能な限り分解する
仕事に再現性を持たすためには、その人がその仕事をするときにどのような動作で動いているかを詳しく分析する必要があります。

例えば、ハンマーで釘をうつ作業を想像してください。
- ハンマーと釘がどこにあるか探す
- 右手をハンマーに差し伸ばしてハンマーを握る
- 左手で釘をつまむ
- 釘を打ち込む場所にあてがう
- ハンマーを振り上げる
- ハンマーを打ち下ろす
- 5と6を繰り返す
ざっと思いつく動作を順番に並べるとこんな感じでしょう。
じゃあ、実際に釘を打つ作業をしている人はこの7つの動作だけを行なっているでしょうか?
- 釘を上下を逆さにつまみあげたので持ち替える
- 打ち込む前にハンマーの軌道を確かめるために2〜3回軽く素振りをする
- 打ち込んだ釘が斜めに歪んでしまって、修正のために釘を横から叩く
このように実際の作業を観察していると価値のある作業、価値のない作業、一概にどちらとも言いにくい作業があることに気づきます。
価値に結びつかなそうなムダな作業をどうすれば減らせるかを考えること
これを動作研究と呼びます。
● 作業を細かく切り分けて(要素分解)
● 切り分けた要素を無駄か無駄じゃないか吟味
● 無駄と思われる作業を減らす、無くす方法を検討
動作研究によって、いつ・どこで・誰がやっても同じ作業が再現できるように考えることが科学でありエンジニアリングなのです。
そう、これがインダストリアル・エンジニアリング(IE)です。
分解した要素を3種類に仕分ける
実際に作業要素を仕分けしましょう。
仕分ける事で、次のステップで改善策を見出しやすくなります。
● 価値作業 → 価値を生み出す作業
● 付帯作業 → 価値を生み出しはしないが、必要な作業
● 無駄作業 → 価値を生み出さない作業
人や流派によって色々な呼び方があるようですが、私は上記の呼び方が一番しっくりきます
先ほどの事例で仕分けしてみましょう
釘打ち作業を分類する
私の仕分けでは下記の通りです
- ハンマーと釘がどこにあるか探す → 無駄
- 右手をハンマーに差し伸ばしてハンマーを握る → 付帯
- 左手で釘をつまむ → 付帯
- 釘を打ち込む場所にあてがう → 付帯
- ハンマーを振り上げる → 価値
- ハンマーを打ち下ろす → 価値
- 5と6を繰り返す → 価値
- 釘を上下を逆さにつまみあげたので持ち替える → 無駄
- 2〜3回軽く素振りをする → 無駄
- 打ち込んだ釘が斜めに歪んでしまって、修正のために釘を横から叩く → 無駄
どーでしょうか?異論・反論大歓迎です。
私の判断基準を説明していきます。
価値作業と判断する基準
材料に何らかのエネルギーを加えて性質を変えている作業
これ以上削ると製品の仕上がりに支障が出る作業
であるかどうかで判断します。
少しカタい言い方ですね。
材料の機能や形を変質させて新しい価値を生んでいると思ったら価値工程に分類します。
無駄作業と判断する基準
あっても無くても製品の仕上がりに影響しない作業
ミス・失敗を取り戻すための作業
これに関しては、深く考えなくても直感的にわかりますよね。
釘を持ちかえる、横から釘を叩いて修正するなどは明らかにムダです。
付帯作業と判断する基準
製品の仕上がりに影響しないが、やらないと価値作業ができない作業
この、付帯作業をどう捉えるかが結構大きなポイントです。
付帯作業は完全に無くすのは難しいが、工夫によっては時間の短縮・省力が可能です。
人によっては
- 1番や素振りは無駄作業では無く付帯作業のような気がする
- 2番3番4番は付帯作業では無く価値作業のような気がする
と感じる方もいると思います。
実際その辺りは紙一重なところもあるので、人によって言うことが違う時もありますが、この事例に関しては多くの業務改善の専門家の方は私の分類に同意していただけるハズです。
この辺は理屈というより、感覚・経験もあります。
習うより慣れろってヤツですかね。
でも、私は感覚に自信を持てるまで5〜6年かかりましたね。
習いながら慣れる。
の方が、成果が出るのは早いかもしれません。
いつやるの?今でしょ!!(古いっ)の林先生はこう言ってます
努力は裏切らない
っていう言葉は不正確だ。
正しい場所で
正しい方向で
十分な量なされた努力は
裏切らない。
体系的な手法を書籍で学びつつ、現場で実践を繰り返す。
これが生産性アップの鉄則ですね。
動作研究の次はECRS原則を使って仮説を立てる
動作分析ができたら、次は改善を考えるプロセスに入っていきます。
ちなみに、今回のIE手法のような細かな改善の積み上げを得意とするのがトヨタ自動車です。
トヨタの改善手法に関しては他に記事をまとめていますのでこちらもどうぞ
実際にどうやって無駄を削っていけば良いか具体的な改善案、改善アイデアを出していく時にはECRS原則という手法を知っていると便利です。これについては次回紹介しましょう。
乞うご期待ください。